Googleが初めて世に送り出したスマートウォッチ、それがPixel Watch(第1世代)である。2022年10月に登場したこの製品は、Googleらしいソフトウェア体験と洗練されたハードウェアデザインを融合した意欲作である。本稿では、その外観、機能、使用感、そしてスマートウォッチ市場における立ち位置を多角的に検証する。
スペック
発売年:2022年
大きさ:41mm
ディスプレイ:1.2インチ AMOLED、常時表示対応
解像度:450 × 450 ピクセル
バッテリー:最大約24時間
充電方式:専用マグネット式USB-C充電ドック
防水性能:5ATM(水泳対応)
センサー類:心拍数、SpO2、加速度、ジャイロ、GPS、コンパス等
決済:Google Pay対応(NFC)
通信:Bluetooth 5.0、Wi-Fi、GPS、NFC
対応OS:Android 8.0以降(iOS非対応)
美しくも主張しないデザイン
Pixel Watchは、41mmのコンパクトなステンレススチール製ケースに、ドーム状の曲面ガラスを組み合わせた美しい外観が特徴である。文字盤は全面がディスプレイに見える設計となっており、ベゼルの存在を感じさせない。
装着感は軽快で、バンド交換も簡単に行える独自機構が用意されている。デザインの完成度は非常に高く、ファッションアイテムとしても成立している点は評価に値する。

Google × Fitbitの統合体験
Pixel Watch最大の特徴は、Wear OSとFitbitによる統合体験にある。通知やGoogleアシスタント、Google PayなどのGoogleサービスと、心拍数・睡眠・アクティビティといった健康管理機能を同時に利用できる。
特に、Fitbit Premiumにより得られる睡眠スコアやストレス管理は詳細かつ直感的であり、健康意識の高いユーザーには魅力的な要素である。
操作性とレスポンス
操作は基本的にスワイプとクラウンによるもので、学習コストは低い。CPUにはExynos 9110を採用しており、若干のタイムラグはあるものの、日常使用において大きなストレスを感じるほどではない。
タイルベースのインターフェースや、カスタマイズ可能なウォッチフェイスは視認性と直感性に優れている。
バッテリーの持ちは“1日”
バッテリーは最大24時間の持続時間とされており、使い方によっては1日持たないこともある。常時表示(AOD)やGPS使用時には特に消耗が激しい。
充電は専用のマグネット式ドックを用い、約80分でフル充電が可能である。とはいえ、睡眠トラッキングまで含めるなら、日中のどこかで“充電の隙”を作る必要がある。
利用環境と制限
Pixel WatchはAndroid 8.0以降のスマートフォンにのみ対応しており、iPhoneには非対応である。この点はApple Watchとの決定的な違いであり、選択の際には大きな分岐点となる。
また、アプリの数やバッテリー持続時間といった面では、他の競合製品と比べてやや見劣りする部分も存在する。だが、Pixelスマートフォンとの親和性は極めて高く、Googleユーザーにとっては最適な選択肢の一つとなるだろう。
まとめ
Pixel Watch(第1世代)は、Googleがスマートウォッチ市場に参入するにあたっての第一歩であり、その完成度は高く評価できる。特に、Pixelスマートフォンとの組み合わせや、Fitbitとの連携は他社にない体験を提供している。
一方で、バッテリー持続時間や処理性能など、改善の余地も明確に存在する。だがそれゆえに、この製品は“原点”として位置付けるべきであり、今後のPixel Watchシリーズの進化を期待させる一台でもある。